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卒業論文 『学び合い』における教師の資質能力の変容に関する研究

今回のブログでは、卒論提出時から出そうと思っていた、自分の卒論についての内容です。

 

研究をした理由をざっくり書けば、それが自分の役に立つからです。

・授業レベルから生き方レベルになったというけれども、本当?

・『学び合い』の単語を書かない本を出すようになったというけれど本当?

・莫大な問答ゼミの動画データをインプットすれば、悩みも少なくなるのでは?

 

など、自分の疑問を解消させたり、自分が職場に出た後に役に立つように。

そういうことを考え、研究の結果を出したかったり、そもそもデータどりの時点で自分の学びになったりする研究を選んだ、という感じでしょうか。

 

改めて、研究して良かったなと思えるものですし、今回は西川先生と西川研究室を対象にしましたが、変容という点ではしっかりグラフ化することができて。

他の実践者がどのように変わっていったのか、というのもお話を聞いてみたかったりします。

 

では、論文の流れに沿って書いていきます。

だいぶ端折りながら書きますので。

 

<問題の所在>

ざっくりと書きますが、

近年の社会の変化から、文部科学省などは子供に身につけさせるべき資質能力を定めた。

そして、それらは当然社会が求める人材の備える資質能力ともいえ、社会の変化が子供に身につけさせたい資質能力の変容に影響を与えていると言える。

 

そして、それを育むための授業形態も変容していると先行研究からわかった。

教師主体の一斉型から子供の学び中心の協働型の授業への変容。

 

このことから、子供に身につけさせたい資質能力の変容と、教員の授業観、授業スタイルの変容はリンクしている。

 

 

その子供の学び中心の授業の一つに、『学び合い』がある。

 

また、以前の著書では『学び合い』における授業観、教師の仕事として3つが挙げられていたが、近年の著書では、教師の仕事は2つに減少している。

 

このことから、『学び合い』においても、教師の授業観が変容していると言える。

 

そんな中で、日本の更なる発展、質の高い人材育成のためには、教師の資質能力の向上が必要であると述べられていた。

 

資質能力には、不易の資質能力に加え、新たに三つの資質能力が必要だと挙げられている。

 

ここで、西川の著書にはアクティブラーニングや『学び合い』に関する内容が減ってきていると書かれていた。

 

ここで、西川の著書の変容は西川自身の考え方の変容ではないかと考え。

 

社会的な変容と照らし合わせると。

子供に身につけさせるべき資質能力や教師の授業観、教師の資質能力は変容している。

そして、『学び合い』においては、授業観が変容していた。

 

このことから、教師の資質能力も変容しているのではないかと考えられ、研究することにした。

 

 

<研究の目的>

『学び合い』提唱者西川純教授と『学び合い』で運営されている西川研研究室を対象に、西川の著書の変容と問答ゼミのゼミ生からの質問・発話内容の変容を分析することを通して、『学び合い』における教師の資質能力の変容を明らかにする。

 

<研究方法>

先生、ゼミ生を対象にする。期間は一年間。

 

分析1

西川の著書の変容から西川の考え方の変容を明らかにする。

 

分析2

『学び合い』で運営されている西川研究室における問答ゼミにおいて、ゼミ生からの質問・発話内容を分析し、変容を明らかにする。

 

分析3

分析1、2を比較し、最終的な『学び合い』にける教師の資質能力の変容について明らかにする。

 

<分析1>

目的は、西川の著書の変容から西川の考え方の変容を明らかにすること。

 

方法は、2010年から2022年までの西川の著書60冊(正当性を上げるため、課題プリント集などは除く)を分析する。

具体的には、

『学び合い』やアクティブ・ラーニングという単語を含むページ数をカウントし、その数を一冊のページ数で割ることで、本一冊に『学び合い』やアクティブ・ラーニングの内容が占める割合を算出。

 

結果をグラフで出してみて。

 

2014年ごろから減少し、近年では割合が初期に比べて低くなっているのが明らかになった。

 

また、『学び合い』の方法や授業の考え方を中心にしている本の内容から教員の生き方や立ち居振る舞いを中心とした本の内容が増えていることがわかる。

 

このことから、西川自身の考え方の変容として、

『学び合い』の方法や授業の考え方を中心とした思考から教員の生き方や立ち居振る舞いを中心とした思考への変容が考えられる。

 

<分析2>

目的は、問答ゼミにおけるゼミ生の質問・発話内容の変容を明らかにすること。

 

問答ゼミとは、西川研究室のゼミの形態であり、ゼミ生が研究や論文、日常での質問を西川に問い、回答を得るという「問答」を中心としたゼミのスタイルである。

 

このデータが、2012年から現在まで、上越教育大学西川純研究室というYouTubeアカウント(https://www.youtube.com/@TheNishikawalab)から投稿されている。

 

そこにおける2012年から2024までの動画データ計2000本以上を分析対象とする。

 

Excelを用いて、動画タイトル、公開日、カテゴリ、動画開始時間を記録。

 

カテゴリは、A、B、Zの三種類で行う。

 

Aを授業レベルの質問・発話内容とし、主に『学び合い』の方法や理論、研究や論文、支援プロジェクト、学校の授業についてなどの質問を分類。

 

Bを生き方レベルの質問・発話内容とし、西川の生き方に関する質問や、ゼミ生のプライベートでの質問などを分類。主にお金や家庭観なども含まれている。

 

Zはその他とし、ゼミ生の質問・発話内容ではないもの(講演会など)を分類した。

 

カテゴリ分けの妥当性を確保するために、エリクソンらの分析の基準に則って、分析を行い、一致率を算出、基準に則っていたため、妥当性を確保。

 

 

結果として、授業レベルの質問・発話内容が減少し、生き方レベルの質問・発話内容が増加していることが明らかになった。

 

<分析3>

分析3では、分析1と分析2の比較を行った。

そうすることで、西川の著書の変容とゼミ生質問・発話内容の変容に同様の変容が見られることが明らかになった。

 

 

<全体のまとめ>

今回の研究では、

・西川の著書の変容が明らかになった

・ゼミ生質問・発話内容の変容が明らかになった

・以上の二つは、同様の変容の仕方をしていることが明らかになった。

 

 

全体の考察として、

授業の方法や理論を重視した思考から、教師の生き方や立ち居振る舞いを重視した思考に変容してると考えられる。

 

これは、西川の著書の変容から考えられる、考え方の変容である。

 

しかし、教師の資質能力という点においては、教師自身で終わる話でなく、教師自身を写す鏡である学級集団(ゼミではゼミ集団)の変容がどのように関わっているのか、それらから考える必要があった。

 

そこで、ゼミ集団にも焦点を当てて研究を行った。

 

結果から考えられる、本研究の目的であった『学び合い』における教師の資質能力に関しては、

授業方法や理論について考え、実践していく授業レベルの資質能力から

生き方や立ち居振る舞いについて考え、実践していく生き方レベルの資質能力に変容していくことが考えられる。

 

<今後の課題>

大学における『学び合い』実践の一例にすぎず、学校現場における教師の資質能力の変容を研究したい。また、それらの変容がどのように学校教育等の現場で活用できるのかを研究していきたい。

 

 

論文の概要としては以上になります!

端折ったところも多くありますので、もし論文が欲しい方はご連絡ください。

 

 

結局自分がこの論文を執筆して、何に役立ったか。

 

これは、莫大なデータ量との戦いでした。

 

しかし、まず研究室の問答のデータ。

これらは、確かに早いペースで見たものの、決まった質問などは先生の思考をトレースして答えることができるようになったと言えます。

 

この会話の流れ、質問にはこういうふうに答えるだろう、という予測が強く、またより染みついたとも言えます。

 

近年の動画データは、生き方レベルであったということもあって、自分の生き方をより強化するのにも役に立ちました。

 

 

本データの分析では、さっとですが60冊超速読で読んだということになります。

全てではないものの、どんな本にどのような内容が書いてあるのか、本当にざっくりと理解できました。

頭の中で、次に読みたい本、ピンチの時に頼りたい本という読書リストができた感じです。

 

 

何より、先生の研究を、研究室最後にできて良かったとも思っています。

この変容、研究は、自分にとって、『学び合い』とは何であるのか、というところを理解するのに必要なものだったと思います。

 

そういう点で、きつかった一年ですが、終わってからの達成感や理解度は上がったと言えます。

 

先生が講演会とかで研究のデータの話をしてくれるのは嬉しいですし。

さらっと何事もなかったかのように使いますが…

 

研究室が終わるからこそ、先生と、研究室の研究を、今までの歴史とともに振り返りながらまとめることができた研究だったと思います。

 

心から、できて良かったと言えます。

 

 

貴重なデータを残していてくださった研究室のOBOGの大先輩方。

アドバイスや、苦労を分かち合って、一緒に頑張ってくれたゼミの先輩、仲間たちに、心から感謝です!